るにはもったいな

huahuacc

2016年03月17日 15:13



毎朝、一仕事を終えて、一杯の珈琲を飲む。
豆をゴリゴリと擦って、湯を沸かし、エッセンスを抽出する。
残った豆カスは植木に与える。
豆カスといえども、捨てるにはもったいない。

あの硬い豆をすりつぶす心地よい音。
ゴリゴリと豆を擦っている時から、心が安らぐ。
そして、あの香り。
鼻腔の奥で、気分が一新されていく。
できあがった珈琲を口に含んだ時の安堵感。
これらもたまらない。

ちょっと前、珈琲はからだに良くないと言われていた。
あの苦さといい、カフェインという微妙な響きが、それを如実に裏付けていた。

しかし、最近は異なった意見が出ている。
南国の紅い実の中にある一対の豆には、ポリフェノールが含まれ、人間のからだにいいというのだ。
ついこの間までの、後ろめたさは一挙に影を潜め、堂々と珈琲を淹れる。
出先で、ちょっと時間があれば、すぐそこにある珈琲専門店で、若い青年から淹れたての珈琲を受け取る

1773年に起こった「ボストン茶会事件」。
イギリスは茶条例を発布して、紅茶を独占、利益の独占を図った。
アメリカに移住した人々は怒り、停泊するイギリス船に乗り込み、積み込まれていた紅茶を海に捨てた事件である。

なんということはない事件の内容であるが、これが契機となって、イギリスからの独立機運が急速に高まっていく。同時に、アメリカに渡った人々はイギリスの香りのする紅茶より同じ大陸で生まれる珈琲を圧倒的に好むようになったというおまけがこの事件には付いている。

人々を搾取して、上流階級の飲み物となった紅茶より、権力に抗って、飲むに至る歴史を持つ珈琲の方が私には性に合っているようだ。

昔アラブの偉いお坊さんが
恋を忘れた哀れな男に
しびれるような香りいっぱいの琥珀色した
飲み物を教えてあげました
やがて心ウキウキとっても不思議なこのムード
たちまち男は若い娘に恋をした

きっと、子どもの頃聞いたファンタジックなこの曲の歌詞も、私に大きな影響を与えているとも思う。

さあ、この一杯の珈琲を飲んだら、もう一仕事だ。

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